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鉄の道



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羽内谷鉱山鉄穴(かんな)流し本場

 金屋子神社から山を越え、松本清張の傑作、「砂の器」の舞台"亀嵩(かめだけ)"を通り、横田方面に左折…、したまでは良かったのです。が、主要道(314号線)のつもりで広域農道を曲がったらしく、いくら走っても駅前に出ない。途中で勘違いに気付きましたが、地図無し前途が不安になり「何はともあれ情報を」とまずは役場に。

 横田地区で見学したい場所の筆頭が"鉄穴(かんな)流し"、だったので観光課で道を尋ねると、「チョット…、遠い…、ですよ」とやや躊躇気味。人生総てに(とはオーバーですが)、"後悔"だけはしたくない。だから、「でも、行ってみます」。



先ほど迷った広域農道の分岐を、「ここから直行すれば30分は節約できたのに」と思いながら通過。

鉄穴流し

「鉄穴流し」最終工程の「本場」
 数箇所の道路工事現場を抜けると、やがて道路は山へと吸い込まれて行きます。谷川に沿った、すれ違い不可の狭い山道には不安を覚え、近くの民家まで引き返えしてしまったほどでした。

 写真を見せて尋ねると「こんなにきれいじゃないけれど」と、道が間違っていないことを教えてくれました。

 それなら一安心と再度Uターン。船通山(斐乃上温泉)への道を右に見て、鳥取県境の山へと分け入って行きます。やっと到達したのは、


「ここは全国唯一完全な形で保存された、当時の様子を物語る産業遺産」でした。


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鉄穴(かんな)流し

 砂鉄 : たたら製鉄の主原料となる山砂鉄は、花崗岩の風化したもので、真砂(まさ:珪酸分が高く溶けにくい)と赤目(あこめ:珪酸分が低く溶けやすい)とに分かれる。奥出雲一帯は、玉鋼を作るのに適した良質の真砂砂鉄が取れた。

鉄穴流し
 砂鉄を含有した山(含有量1〜2%)を、"打ち鍬"と言うツルハシ状の道具で切り崩し、水と共に下に流す(これを"走り"と言う)。

 途中いくつも堰を作って微妙に水勢を変え、比重の重い砂鉄だけを沈殿させる。

 "走り"の長さは通常でも数キロ、場所によっては十数キロに及び、最後の乙池では鉄分85〜90%の砂鉄となる。


これなら、流しの本場が山深い場所にあるのは、「当然」ですよね。



 ちなみにこの施設は最終段階の乙池周辺。ここで集められた砂鉄が、"たたら場"に運ばれて玉鋼に変身したんですね。 又、「山から土砂を大量に流すこの"鉄穴流し"は、度々下流の農民との争いの元となり、その後この作業は農業に支障のないよう、秋の彼岸から春の彼岸にかけて行われるようになった」そうです。



横田町指定文化財
羽内谷(はないだに)鉱山"鉄穴流し"本場

見学自由(無料)

問い合わせ先
横田町教育委員会 : 0854-52-2021
横田町観光協会 : 0854-52-2111




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雲州ソロバン伝統工藝会館

 町役場でもらった観光マップに、この工芸館の名を見つけて驚きました。"雲州ソロバン"の名は聞いたことがありましたが、"雲州"がこの地域を指すとは、まして横田町に資料館があるとは、思いも寄らなかったからです。JR出雲横田駅前に建つソロバン資料館の横にはオロチ伝説にも出てくる"クシイナダ姫"の銅像。ここは彼女の故郷なんだそうです。

ソロバン資料館

体育館のように広い、ワンルームの資料館内部

 170年の歴史を持つ"雲州ソロバン"。その発展は道具の発明・改良によるところが大きく、「雲州算盤の歴史は、道具改良の歴史」なんだそうです。職人さんたちが苦慮して作りだした、道具の展示と製法の変遷。世界のソロバンや変り種ソロバン(電卓付き・視覚障害者用・折畳式・ロール形…など)が並べられていました。

 どれもが貴重な資料なのでしょうが、だだっ広い空間に途切れもなく並べられていると、どうも注意力が持続できない。何を見てきたのか、あまり記憶に残っていないのが残念です。コーナーで仕切ってメリハリをつけるとか、説明文の要点を絞るとか、もう一工夫して頂けるとありがたい、のですがね。




開館時間 : 09:00〜16:30
休館日 : 月曜日(祝日の場合その翌日)・12月28日〜1月4日

入館料 : 大人310円 大学・高校生210円 小中学生150円

TEL : 0854-52-0369
所在地 : 島根県仁多郡横田町横田992−2



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奥出雲たたらと刀剣館

 さて、いよいよ鉄の道文化圏の核心部に入ってきました。駅前にあるソロバン資料館から車で数分、町を一望する"むらくも"の丘に建つのが"たたら"と"刀剣"の博物館でした。たたら製鉄=玉鋼=日本刀、と誰でもが連想できるほど緊密な両者、ここでどんな知識が得られるのか、楽しみです。

奥出雲たたらと刀剣館

ステンレス製の「ヤマタノオロチ」が見守る "奥出雲たたらと刀剣館"

 横田地方の"たたらに関する歴史と史跡"のアプローチを経て館内に入ると、巨大なたたら炉の模型が目に飛び込んできました。それを取り囲むように、玉鋼・日本刀の研磨工程・吹子(ふいご)の歴史と変遷…などの展示があり、一度外に出て、別棟になった日本刀鍛錬場とアニメ・シアター(見学当時は刀剣の展示室に)を見学するようになっています。

 展示室の一角では、9分間の「日刀保たたら」紹介ビデオを上映中。これで概要は掴めますが、作刀風景はほんのわずか。 毎月第2日曜・第4土曜日にある、刀匠による作刀実演以外の日は、展示された日本刀でガマンするしかないのですが、映像でも構わないから、日本刀の製作工程が見たかった。それがちょっと残念です。



日刀保たたら : 全国に約250人いる刀匠らに、材料となる玉鋼を供給しようと、日本美術刀剣保存協会(略称"日刀保")が、昭和52年(1977年)に復活させたのが「日刀保たたら」。現在、年数回の操業を行い、約6トンの玉鋼を生産している(原則として非公開)。 横田町大呂 : 0854−52−1010


現代たたら(和鋼生産研究開発施設) : お隣の吉田村では、伝統たたらに現代の技術を取り入れ和鋼を生産しています。現在、"たたら"の技法をつかって玉鋼を生産しているのはこの2ヶ所のみ。共に、原則としては非公開で、見学希望者は事前の許可が必要となります。 吉田村吉田 : 0854−74−0301


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"たたら炉"切断模型

 展示室中央には、実物大の"たたら炉"の切断面モデルが鎮座し、何層にもなっている(地上部の3倍はある)地下構造を降りていって自分の目で確かめられるようになっています。炉の構造を知るには有り難い展示なのですが、"たたら"の何たるかも知らず行ったので、「巨大な模型だな」と思うだけで、何故これほどの展示が必要なのか良くわからない始末。

たたらの切断面モデル

実際に使われていた材料で作られた、"たたら炉"切断面模型

 良質の玉鋼を得るには"たたら製鉄"が、そのためには良い"たたら炉"が、その"炉"を築くには、偏執狂的(ごめんなさい)作業の繰り返しによる地下構造が不可欠。

 と理解できたのは後日。吉田村の鉄の歴史博物館で、操業記録ビデオ、"踏鞴(たたら)"を見た時、そして安来の和鋼博物館で、"たたらの床つくり"の連続模型に接した時でした。"たたら製鉄"への理解を深めるには、最初に吉田村か安来に行った方が良さそうです。




開館時間 : 10:00〜17:00
休館日 : 月曜日(祝日の場合その翌日)・12月28日〜1月4日

入館料 : 大人510円(JAFカードの提示で400円に) 小中学生250円

刀剣鍛錬日(毎月第2日曜・第4土曜日) : 大人1,220円 小中学生610円

TEL : 0854-52-2770
所在地 : 島根県仁多郡横田町1380−1



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絲原記念館

 たたら製鉄の経営者は鉄師頭取と呼ばれ、松江藩より"準武士扱い"という優遇を受けていました。当時の繁栄ぶりを、奥出雲の御三家(絲原家・櫻井家田部家)の邸宅や庭園、製鉄資料や美術品で偲ぶことにいたしましょう。最初の訪問地は横田町の絲原(いとはら)家です。

絲原記念館

映画「絶唱」の舞台(ロケ地)にもなったという、絲原記念館

 前半の鉄穴流し行きが響き、記念館に到着したのは秋の日も暮れかかる午後の4時。この情緒を楽しむまもなく、大急ぎで記念館に直行です。黒門より奥に向かって約33,000\x87u(1万坪)の敷地を持つ絲原家。記念館は門を入ってすぐ左、邸宅・庭園(別料金)はそれより30mほど奥右手に位置していました。



 館内は「たたら製鉄」「民俗資料」「古文書」「美術工芸品」など、3つの展示室に分かれています。貴重なたたら資料が多いようでしたが、この時はまだ"何がなにやらわからない"状態。恥ずかしながら、"猫に小判"か"豚に真珠"の見学と相成ってしまいました。アー、もったいない。

 ここのVTRは、「鉄穴鈩(たたら)をかえりみる」(日刀保たたら操業の様子を交え、鉄穴たたらをかえりみる 35分)・「日本刀を造る」(島根県指定文化財、小林刀匠による鍛錬 18分)の2本。ギリギリで入館したので、ここのVTRを見ることが出来ず本当に残念。このサイトを知った方、私の代わりに見てきて下さいね。




開館時間 : 09:00〜16:30(入館は16:00まで)
休館日 : 展示替え日(年6日 3・6・9月に各2日)

入館料 : 大人630円(庭園拝観はプラス250円)
 大高生420円 小中学生315円

TEL : 0854-52-1896
所在地 : 島根県仁多郡横田町雨川



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